ローラン・ベナールは、先祖から受け継いだ畑の一部にエルヴェ・ジェスタン方式のビオディナミを取り入れ、その畑のぶどうからシャンパーニュ(シャンパン)を生産しています。この土地のぶどうを正しく表現するために、そして子孫のために、ビオディナミへの転換を選択し、新たに立ち上げられたメゾン、ローラン・ベナールをご紹介します。
ヴァレ・ド・ラ・マルヌ地区のマレイユ・シュル・アイ村(プルミエ・クリュ村)を拠点とする、RM(レコルタン・マニピュラン)のメゾンです。当主は、ミシェル&ローラン・ベナール=ピトワ夫妻です。
2009年からビオディナミ農法に転換して、現在は2.45haの畑がAB認証を受け、さらに2012年ヴィンテージからは、製品自体にもエコセール認証を受けています。独自の哲学を持つビオディナミの奇才、エルヴェ・ジェスタン氏に、醸造コンサルタントを依頼しています。
「ローラン・ベナール」の母体は、1878年創業の「ベナール・ピトワ」です。「ベナール・ピトワ」は創業以来、家族経営を続け、1991年にミシェル&ローラン夫妻が継承しました。ヴァレ・ド・ラ・マルヌ地区とコート・デ・ブラン地区の6つの村に、9.5haの畑を所有しています。
「ベナール・ピトワ」は、名門メゾンの「デュヴァル・ルロワ」にぶどうを販売していたこともあり、ミシェル&ローラン夫妻は、メゾンを継いだ当時、そこで醸造長をしていたエルヴェ・ジェスタン氏と出会いました。もともと夫妻はオーガニックに興味を持っていて、1995年には1haでエコセール認証のテストを受けています。そしてエルヴェ・ジェスタン氏独立後の2008年、醸造コンサルタントを依頼して、2009年から一部をビオディナミ農法に転換し、その畑のぶどうのみを使ったキュヴェをリリースする「ローラン・ベナール」を立ち上げました。2010年が初ヴィンテージです。
ビオディナミのプルミエ・クリュ
2009年にビオディナミ農法に転換して以降、これまでに2.45haの畑がAB認証を受けています。それらは、マレイユ・シュル・アイ村(ピノ・ノワール、ムニエ、シャルドネを栽培)と、アヴネ・ヴァル・ドール村(ピノ・ノワールを栽培)にあり、どちらもプルミエ・クリュ村です。
ローラン氏は、「ビオディナミは手段であって目的ではない。あくまでも私たちの目的はシャンパーニュ(シャンパン)の品質です」と語っています。
できる限り人間が介入をせず自然のままに
馬を使って畑を耕し、ぶどうの根を地中深くまで届かせてより栄養を摂らせ、まずはリッチで凝縮感のある果実を得ます。その後はできるだけ人の手を加えません。自然なデブルバージュ(前清澄)を行なうことで、天然酵母を最大限に維持します。マロラクティック発酵も自然にまかせます。ドザージュも酸化防止剤も、極力控えています。
樽熟成(エレヴァージュ)
できるだけ自然に介入しないというこだわりには矛盾しているようにも聞こえますが、熟成には木樽を使います。木がワインに与える影響を楽しみたいと言っています。
「ベナール・ピトワ」を継いで20年、ビオディナミから3年で生み出されたブラン・ド・ノワール
Laurent Bénard Extra Brut Vendange 2011 ローラン・ベナール エクストラ・ブリュット ヴァンダンジュ 2011
ピノ・ノワール50%、ムニエ50% ドザージュ2g/L
「ローラン・ベナール」としては、セカンド・ヴィンテージとなります。
初めて製品自体もエコセール認証を取得したキュヴェ
Laurent Bénard Extra Brut Vibrato 2012 ローラン・ベナール エクストラ・ブリュット ヴィブラート 2012
ピノ・ノワール63%、ムニエ25%、シャルドネ12% ドザージュ2g/L
品種の割合は年によって異なります。前年のヴィブラートとも大きく違っています。
マレイユ・シュル・アイ村の、4つの区画のぶどうを用いたキュヴェ
Laurent Bénard Extra Brut Vibratis 2013 ローラン・ベナール エクストラ・ブリュット ヴィブラティ 2013
ピノ・ノワール40%、ムニエ40%、シャルドネ20% ドザージュ2.4g/L
ステンレスタンクと木樽を用いて醸造。2014年7月26日に瓶詰めされました。