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これさえ知っていたら通? 2019年に注目すべきシャンパーニュのキーワード3つ

シャンパーニュ委員会によると、2018年のシャンパーニュ(シャンパン)全体の売上高は過去最高を更新し、日本市場は出荷数・金額ともに前年に続いて第3位を記録したとのことです。日本は今や世界有数の輸入国であり、シャンパーニュ(シャンパン)が確実に浸透している国になったと言えます。

そんな状況で2019年度がスタートした今、注目すべきキーワードを3つ選んでみました。銘柄で選ぶ以外にも、ぜひこれらのキーワードにも着目していただければと思います。

 

 

1.エクストラ・ブリュット

もともとは甘口だったシャンパーニュ(シャンパン)が辛口へと移行したのは、19世紀のことでした。それ以降100年以上に亘り、辛口「ブリュット」が、一般的に流通するシャンパーニュ(シャンパン)となりました。現在、各メゾンのスタンダード・キュヴェも、ブリュットであることがほとんどです。

しかし近年、さらに辛口嗜好が高まっていることと、よりぶどう本来の味わいを求める自然志向が高まっていることから、ドザージュをごく少量にするキュヴェの生産が増えてきています。このドザージュの少ないシャンパーニュ(シャンパン)が、「エクストラ・ブリュット」です。

シャンパーニュ(シャンパン)の甘辛度は、ドザージュによる残留糖度で決まります。ブリュットは12 g/L以下、エクストラ・ブリュットは6 g/L以下と規定されています。糖分添加の少ないエクストラ・ブリュットは、より繊細なすっきりした仕上がりのシャンパーニュ(シャンパン)になります。

なお、エクストラ・ブリュットはぶどうの味わいがピュアに表れるので、ドザージュをしなくてもバランスの良いシャンパーニュ(シャンパン)を生み出せるような、ぶどうそのものの高い品質が求められます。

 

2.マロラクティック発酵

マロラクティック発酵とは、一次発酵の後、乳酸菌を添加することによって、ワイン中のリンゴ酸を乳酸と炭酸ガスに分解させることです。リンゴ酸はMalic acid、乳酸はLactic acidなので、Malo-Lactic Fermentationマロラクティック発酵、略してMLFと呼ばれます。また、単にマロとか、マロラクティック発酵をしないことをノンマロと言うこともあります。

マロラクティック発酵の効果は、酸味が柔らかくなって、香り成分が生成され複雑味が出ることです。しかしその反面、フレッシュさは失われるので、どのような仕上がりを目指すかによって、マロラクティック発酵をするかしないかの判断をします。実際には、行なっているメゾン、キュヴェが多数です。それは、マロラクティック発酵をしないと鋭角のリンゴ酸が残ることになり、その酸を落ち着かせるには長い熟成期間が必要で、リリースまでに時間がかかってしまうというのが大きな要因です。

しかしそれでもマロラクティック発酵はしないというポリシーを持つメゾン、キュヴェがあります。例えばクリュッグやランソン、サロンなどがそうです。RM(レコルタン・マニピュラン)にも割とよく見られる傾向です。非常に長い熟成が必要であっても、ぶどうが本来持っている自然のリンゴ酸だからこそ生み出せる深い旨み、複雑なアロマ、長い余韻を大切にしているのです。

なおマロラクティック発酵はシャンパーニュ(シャンパン)だけの話ではなく、白ワインの一部と、赤ワインではほぼ行われている工程です。マロラクティック発酵をしているかどうかは、ラベルから読み取ることはできませんので、行なっているのか、いないのかを感じながら、また調べながらシャンパーニュ(シャンパン)を楽しむのも面白いかもしれません。

 

3.ムニエ100%

シャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエというシャンパーニュ(シャンパン)主要3品種のうち、補完的に使われることが多いとされるムニエですが、そんなムニエ100%で作られるブラン・ド・ノワールも、今後注目すべきキーワードのひとつです。

脇役の扱いではなく、ムニエの底力を世に知らしめたいとの信念を持つメゾンが、ムニエ単独でも、ピノ・ノワールやシャルドネにも匹敵するシャンパーニュ(シャンパン)ができることをすでに証明してくれています。ピノ・ノワールのブラン・ド・ノワールに比べると、ムニエの方が、より柔らかい味わいが特徴です。

ムニエが多く栽培されているのは、ヴァレ・ド・ラ・マルヌ地区です。このシャンパーニュラボのサイトでご紹介しているメゾンの中でも、例えばタルラン、クー・デ・リス、ボーモン・デ・クレイエール、ローラン・ルカールなどがムニエ100%のシャンパーニュ(シャンパン)を生産していますが、いずれもヴァレ・ド・ラ・マルヌ地区のメゾンです。

 

例えば、冷涼で厳しい気候のシャンパーニュ地方でも、地球温暖化によってぶどうの糖度がやや上がりやすくなったことなど、時代のいろんな流れが合わさって、2019年は、このようなキーワードにつながってきたのだと思います。ともあれ、以前よりいろんなスタイルのシャンパーニュ(シャンパン)が楽しめるようになったのは嬉しいことです。

 

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