ベレッシュ・エ・フィスでは、ビオロジックでのぶどう栽培に始まり、天然酵母での発酵、ノンマロ、樽の使い分け、コルクでの長い瓶内熟成など、若き兄弟当主が随所にこだわりを見せて、テロワールを最大限に表現することを目指しています。近年ネゴスの活動も始めた家族経営のメゾン、ベレッシュ・エ・フィスをご紹介します。
○ベレッシュ・エ・フィスとは
モンターニュ・ド・ランス地区のリュード村(プルミエ・クリュ村)を拠点にしているRM(レコルタン・マニピュラン)です。9.3haの畑を所有し、シャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエを栽培しています。年間の生産本数は85,000本です。
環境への配慮を重視するベレッシュでは、畑はビオロジックで除草剤や殺虫剤に頼ることなく、また廃棄物も再処理するなどの対応をしていて、HEQ(高環境品質)認定を取得しています。
○ベレッシュ・エ・フィスの歴史
アルベール・ベレッシュ氏が1847年に設立したメゾンで、現在の主は5代目のラファエル・ベレッシュ氏です。1982年生まれという若い当主で、良い伝統は守りつつ、新しい流れも柔軟に取り入れています。
2008年からは弟のヴァンサン・ベレッシュ氏も参画し、兄のラファエル氏が醸造担当、弟のヴァンサン氏が栽培担当としてメゾンを運営しています。
○テロワールを余すことなく表現する
2004年からすべての畑でビオロジックを実践し、一部の畑ではビオディナミも試しています。それぞれのぶどうの木の個性を大切にし、グラスの中のシャンパーニュ(シャンパン)に、テロワールを語らせることを目指しています。そのためマロラクティック発酵は行なわず、ドザージュも少量です。
○木樽でゆっくり発酵、コルクで熟成
培養酵母を使うよりもひと月以上長く時間がかかりますが、天然酵母を使って、主に木樽でゆっくり発酵させ、シュール・リーで熟成させます。瓶詰め後は、ブリュット・レゼルヴ以外は、王冠ではなくコルクで瓶内熟成させることにもこだわっています。
木樽に関しては、ロマネ・コンティから譲り受けたものを黒ぶどう用に使ったり、ボランジェの樽職人が作るものもあります。
○「ラファエル&ヴァンサン・ベレッシュ」プロジェクト
兄弟の名前をつけたこのプロジェクトは、他の生産者の、デゴルジュマン前のシャンパーニュ(シャンパン)を選び抜いて、「クリュ・セレクショネ」としてリリースしているものです。すべてグラン・クリュ村またはプルミエ・クリュ村のヴィンテージもので、その土地、その年の個性が明確に表現されているかどうかを基準に厳選しています。
シャンパーニュ(シャンパン)の魅力をさらに伝えるべく始めた2014年からのプロジェクトで、「コート」「ヴァレ」「モンターニュ」のカテゴリーがあります。エレヴァージュ、デゴルジュマン、ドザージュは、ベレッシュで行なっています。すべてエクストラ・ブリュットです。
Bérêche et Fils Brut Réserve ベレッシュ・エ・フィス ブリュット・レゼルヴ
シャルドネ30%、ピノ・ノワール35%、ムニエ35%、ドザージュ7g/L
きれいな酸で、凛としたメゾンのスタイルが表れている「ベレッシュの名刺」と呼ぶ定番キュヴェ
Bérêche et Fils Le Cran 2007 ベレッシュ・エ・フィス ル・クラン 2007
シャルドネ60%(ル・クラン1969年植樹)、ピノ・ノワール40%(サン・ジャン1973年植樹)ドザージュ3g/L
リュード村の同じ標高にある2つの区画の、ヴィエイユ・ヴィーニュの2品種のアッサンブラージュです
Bérêche et Fils Reflet D’antan ベレッシュ・エ・フィス ルフレ・ダンタン
シャルドネ30%、ピノ・ノワール35%、ムニエ35% ドザージュ6g/L
1985年からドゥミ・ミュイ(600L木樽)のソレラシステムで作られているリザーヴワインを使用しています。